終活のトリセツ

エンディングノート

親が絶対に嫌がらない!挫折しないエンディングノートの書き方と私の失敗談

公開日: 2026-03-24 (2026-04-01 更新)
この記事を書いた人: 田中美智子
親が絶対に嫌がらない!挫折しないエンディングノートの書き方と私の失敗談
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「お母さん、これ、書いておいてよ」

そう言って、親戚の法事の帰りに母に市販の立派なエンディングノートを渡したときのこと。 母はそれをパラパラと数ページめくり、パタンと閉じてこう言いました。

「まだ死なないわよ。こんなの書くくらいなら、ボケた方がマシね」

それ以来、実家の本棚の奥で、その分厚いノートは一度も開かれることなく、ただホコリを被っています。

「せっかく親のために良かれと思って買ったのに!」とイライラしていた当時の私。でも今なら分かります。あんな重くて死の気配がプンプンするノートを押し付けられたら、誰だって反発したくなるものです。

親の終活のお手伝いにおいて、「エンディングノートの導入」は最も有効ですが、同時に最も高いハードルでもあります。 (もちろん、まず親に終活を切り出すことが大前提になります。切り出し方のコツについては こちらの記事(親に終活を勧めるには) で詳しく書いていますので参考にしてくださいね)

今回は、親の自尊心を傷つけずに、自然と「あ、ちょっと書いておこうかな」と思わせるエンディングノートの始め方と、絶対に挫折しないための書き方についてお話しします。

なぜ親はエンディングノートを嫌がるのか?私の大失敗

私が母に渡したあの分厚いノート。失敗の原因は大きく3つありました。

1. タイトルが「エンディング(終わり)」すぎる

第一に、名前です。「私のエンディングノート」「人生の終い支度」……こんなタイトルが表紙にドーンと書かれていたら、まるで「さあ、死ぬ準備をしろ」と宣告されているような気分になります。親世代にとっては、自分の人生の終わりを直視させられるのは非常に辛い作業なのです。

2. 書く項目が多すぎて、テストみたい

市販の立派なノートの多くは、「第1章:私の戸籍」「第2章:加入保険・年金」「第3章:お墓の希望」のように、何十ページにもわたって細かく記入する項目が並んでいます。 「あそこの銀行って支店名はどこだっけ?」「保険の証券番号は?」といちいち調べなければならず、まるでお役所の書類を書かされているようです。途中で面倒になり、挫折するのも無理はありません。

3. 「遺言書」と同じだと思い込んでいる

親の多くは「これを書いたら、自分の全財産の行く末が決まってしまう」と勘違いしています。「まだお金のことは決めたくない」という心理から、ノート自体を敬遠してしまうのです。(法的効力については後ほど説明します)

親が喜んで書いてくれる!魔法の「自分史ノート」から始めよう

では、どうすればよかったのでしょうか。

答えは簡単です。「エンディングノート」という名前を捨て、「親の自分史・思い出ノート」としてアプローチすることです。 人間、自分の人生で楽しかったことや苦労したこと、自慢話を語るのはいくつになっても楽しいものです。

「まずは、お母さんの若い頃の話を聞かせてよ」

私が失敗の数年後、別のアプローチで成功したときの言葉です。 「お母さんが若い頃に流行ってた映画って何?」「おじいちゃんってどんな人だったの?」と、昔話を聞きながら、普通のキャンパスノートにメモを取っていきました。

「そういえば、うちの家系は昔から〜」と、祖父母のルーツの話になったり、母の青春時代の甘酸っぱい思い出が飛び出したり。私は「へえ!すごい!」と相槌を打ちながら、それをノートに書き留めました。

そして最後に、「お母さん、これすっごく面白いから、思い出のレシピとか、私に残しておきたいメッセージとか、ここに書いておいてよ」とノートを渡したんです。 すると母は、「じゃあ、ハンバーグの作り方でも書いておこうかしらね」と、嬉しそうにペンを取りました。

資産や介護の希望を聞き出すのは、その後で十分です。まずは「自分史」から入り、文字を書くことの楽しさを思い出してもらう。これが一番効果的な魔法のステップです。

絶対に挫折しない!エンディングノートの「書き順」

もし、市販のノートを使う場合や、親自身が「自発的に書いてみたい」と言ってくれた場合でも、いきなり1ページ目から書き始めてはいけません。

挫折しないための、鉄則の「書き順」があります。

📌 ステップ1:ペットのこと、好きな食べ物から書く

「もし自分が入院したら、ポチ(愛犬)の世話はどうするか」「最後の晩餐で食べたいものは何か」――このくらいライトな項目から埋めてみてください。これなら考える必要もなく、スラスラ書けます。

📌 ステップ2:スマホのパスワードやサブスクの解約方法

次は「日常生活の整理」です。「もしもの時に、私のLINEのアカウント消しておいてよね」「アマゾンプライムの解約よろしく」と、スマホ周りのことに触れてみます。最近はスマホのパスワードが分からないせいで、遺族がとんでもなく苦労する「デジタル遺品」の問題が急増しています。(デジタル遺品については別の記事 デジタル終活 で詳しく書いています)これは比較的親も危機感を感じやすいポイントです。

📌 ステップ3:介護や延命治療の希望

「認知症になったら、施設と自宅どっちがいい?」「意識が戻らない時、延命措置はしてほしい?」 これは一番重要かつ、判断が難しい項目です。でも、ここが書かれていないと、いざという時に子どもの私たちが「お母さんはどうしたかったんだろう」と、一生消えない後悔と決断の重圧を背負うことになります。

📌 ステップ4:最後の最後で「資産や銀行」

もっとも揉めやすい「お金」のことは一番最後に。どこの銀行に口座があるか、その名前だけでも書いてもらえれば100点満点です。

注意!エンディングノートに「法的効力」はありません

ここでひとつ、絶対に間違えてはいけない重要な落とし穴をお伝えします。

エンディングノートには、いかなる「法的効力」もありません。

例えばノートの端っこに「全財産を長男に譲る」「家には次男を住まわせる」と書いてあっても、それはあくまで「親の希望ポエム」に過ぎません。法的な意味はゼロです。そのノートの言葉を根拠に、きょうだいが揉めるケースも非常に多いのです。(相続トラブルの恐ろしさについては、こちらの記事 でもお話ししましたよね)

「財産をどう分けるか」という法的効力を持たせたい場合は、必ず専門家に見てもらった**「遺言書」**を作成する必要があります。「エンディングノートがあるから安心」というのは大きな誤解ですので、十分にご注意ください。

読者からよくある質問(Q&A)

Q. エンディングノートはどこに保管すべきですか? A. 「仏壇の引き出し」「机の一番上の引き出し」など、日常的に目につきやすい、かつ家族が見つけやすい場所がベストです。「泥棒が心配だから」と貸金庫や銀行のセーフティボックスに入れてしまうと、家族が死後に開けることができず本末転倒になります!

Q. 親がどうしても市販の分厚いノートを嫌がります。 A. 大学ノートやルーズリーフで十分です。無料でもらえる薄い冊子から始めるのが一番ハードルが低いです。

Q. 親がノートに書いたことを忘れてしまいそうです。 A. エンディングノートは「一度書いたら終わり」ではありません。毎年のお正月や誕生日など、家族が集まるタイミングで見直すのがコツです。「去年は胃ろう嫌だって言ってたけど、今年は?」と、明るく更新の提案をしてあげてください。

無料でもらえる「ちょうどいいノート」を取り寄せよう

エンディングノートは、最初から数千円もする分厚くて立派なものを買う必要はありません。かえって親のプレッシャーになるからです。

まずは、葬儀社や終活ポータルサイトが無料で配布している「薄いパンフレット型」のエンディングノートから始めてみるのが一番です。(私も今はこの無料版を活用しています)

「これ、無料で配ってたから、遊び半分でお互いに書いてみない?」 と、自分用と親用を取り寄せて、カフェなどでお茶をしながらパラパラめくってみてください。

そこから始まるのは「死への準備」ではなく、これまでの人生を振り返る「親子の優しい時間」になるはずです。

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田中美智子

この記事を書いた人:田中美智子

54歳、東京在住のパート主婦。3年前に父を亡くし、遺産相続と実家の片付けで大苦戦。「同じ後悔を他の人にしてほしくない」という思いで、等身大の終活情報をお届けしています。