母の「手書き遺言書」が無効で大パニック!?自筆証書遺言の落とし穴と法務局保管制度の衝撃

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「私が死んだら、この家は長男に、残った預金は娘の美智子に半分ずつ分けてね。ちゃんとお手紙(遺言書)を書いといたから、安心しなさい。」
数年前、そう言って誇らしげに便箋を見せてくれた母。 当時の私は「さすがうちのお母さん、しっかりしてるわ〜」と呑気に感心していました。 (一般家庭ほど揉める相続トラブルについては、こちらの記事でもお話ししています)
しかし、母が亡くなった後、その「自筆の遺言書」を銀行や法務局(名義変更の場)に持っていった私たちは、窓口の担当者の言葉に耳を疑うことになります。
「申し訳ありませんが、こちらの遺言書は『法的要件』を満たしていないため、無効となります」
「えっ……無効!? 母が一生懸命書いてくれた想いが、ただの紙切れになるの!?」
今回は、私が体験した「自筆の遺言書」のあまりにも残酷な落とし穴と、この悲劇を防ぐための解決策についてお話しします。
わずかなミスで「完全無効」になる自筆証書遺言の恐怖
遺言書にはいくつか種類がありますが、一般の人が一番手軽に書くのが、紙とペンだけで書ける「自筆証書遺言」です。 しかし、これには民法で定められた「一文字でも間違えたらアウト」という極めて厳密なルールが存在するんです。
母の遺言書が無効になってしまった理由は、本当に些細なことでした。
パニックの原因:「日付」が吉日だった
母の遺言書には、文章の最後にこう書かれていました。 『令和X年X月 吉日 田中〇〇』
担当者「日付が『吉日』では、いつ作成されたものか特定できないため、無効です」
私は唖然としました。母は縁起を担いで「吉日」と書いただけなのに、たったそれだけで、財産を誰にどう分けるかという数十万円・数百万円の話がすべて白紙になってしまったのです。
他にも、自筆証書遺言には「一発で無効になるNG例」が山のようにあります。パソコンで入力し記名押印だけ手書きしたもの(本文すべてが自筆でなければダメ、※財産目録は条件付きでパソコン可)や、スマホの録音や動画で残したもの、夫婦共同で一枚の紙に遺言を書いたもの、訂正の仕方が法律通りでなかったもの(二重線を引き、定められた場所に印鑑を押し、どこをどう直したか付記しないと無効)……。
このような厳しすぎるルールのせいで、「親がせっかく残してくれた遺言書が無効になり、結局兄弟で一から遺産協議をして揉めることになった」という家庭が後を絶たないんです。
その遺言書、勝手に開けたら5万円以下の過料です
さらに恐ろしい事実があります。 もしあなたが、親のタンスから「遺言書」と書かれた封筒を見つけたとします。「お、なんだろう?」と思ってその場でビリッ!と封を切ってしまったら……
実はそれ、法律違反になる可能性があるんです。
自宅で見つけた自筆証書遺言は、勝手に開封してはいけません。必ず「家庭裁判所での『検認(けんにん)』」という手続きを踏む必要があります。検認せずに開封した場合、5万円以下の過料(罰金のようなもの)を科される恐れがあるのです。
しかも、この家庭裁判所での「検認」には、戸籍謄本を集めたり手続きをしたりと、数ヶ月の時間がかかります。その間、親の口座は凍結されたまま、預金を葬儀代として引き出すこともできなくなるんですよね。あなたのご実家の遺言書、大丈夫ですか?
知っていますか?法務局にたった3,900円で預けられる制度
「じゃあもう、自筆の遺言書なんて書かない方がマシなの?」 そう思った方に朗報です。
令和2年(2020年)から、この悲劇をなくすための画期的な制度がスタートしました。それが「法務局における遺言書保管制度」です。
これは、自分で書いた自筆の遺言書を、全国の法務局(役所)が預かってくれる制度です。費用はたったの3,900円。 この制度を利用するとどんないいことがあるか、順番にお話ししますね。
まず、法務局に持ち込んだ際、担当者が「日付が吉日になっていないか」「署名や押印はあるか」等、無効にならないための形式(外形確認)をチェックしてくれるんです。内容の法的有効性を完全に保証するわけではありませんが、母のようなくだらないミスは防げます。
それから、法務局でデータ化して厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配もゼロです。「長男が自分に都合の悪い遺言書を破り捨てた」なんていうサスペンスドラマのような事件は起きません。
そして何よりすごいのが、家庭裁判所での「検認」が不要になること。死後、遺族は法務局で「遺言書情報証明書」をもらえば、そのまま銀行ですぐに解約等の手続きに進めます。数ヶ月かかる面倒な検認手続きが丸ごとパスできるんです。
ちょっと話がそれますが、この制度のことを初めて知った時、「なんでもっと早くできなかったんだろう」と本当に悔しくなりました。母の遺言書が無効になる前にこの制度があれば……と思うと、今でもやりきれない気持ちになります。でもだからこそ、今からでも間に合うお父さん・お母さんにはぜひ活用してほしいんです。
自信がなければプロに頼るのが一番確実
「保管制度の凄さはわかったけど、やっぱり自分で何からどう書けばいいのか分からない」 「誰にどの不動産を渡すという書き方で、後で法律的に揉めないか不安……」
やはり、素人が見よう見まねで作る遺言書には「後から親族間で解釈の違いで揉める」というリスクがどうしてもつきまといます。私が一番痛感したのは、「プロの知識を最初から頼っていれば、こんなに苦しい思いはしなかった」ということなんです。
もし揉めない、100%効力を発揮する遺言書を作りたいのであれば、最初から相続に強い司法書士や行政書士などの専門家に「遺言書作成のサポート」を依頼するのが一番確実ですよ。
費用はかかりますが、「無効になって数千万の遺産を巡って兄弟で裁判を起こし、弁護士費用を払い、縁を切る」ことに比べれば、圧倒的に安い保険料です。
「親が残してくれた想い」を、ただの紙切れや、争いの火種にさせないために。 ご自身の、そしてご両親の安心な未来の備えとして、遺言書の正しい残し方を一度検討してみてくださいね。

この記事を書いた人:田中美智子
54歳、東京在住のパート主婦。3年前に父を亡くし、遺産相続と実家の片付けで大苦戦。「同じ後悔を他の人にしてほしくない」という思いで、等身大の終活情報をお届けしています。